■私たちが屋根を見上げる時‥、最初に目に入る瓦。
  今回は、そんな軒瓦(のきがわら)の話です。
 

 

□上の画像は一文字と呼ばれる軒瓦です。
  軒先の瓦の下端が真っ直ぐ‥一文字になっているのがわかるかと思います。

□下の画像は通常見られる瓦ですね。
  一文字に対して万十(まんじゅう)と呼ばれています。
  万十はお饅頭のような円形をしているものが軒先に付いているところから、
  そのように呼ばれています。

‥どうですか?そんな風に見えるでしょ‥?
一文字瓦は万十瓦に比べるとすっきりとして締まった感じがします。
重々しく感じさせず、建物全体を締まって見せる効果があると思います。

 
 
 
 
 
 
■‥今回は吉村瓦商店の“合端(あいば)”の作業を見せて
    いただきました。
 

☆水平の台の上で、水平ラインを守って、一文字瓦の
  “流れ”をみていきます。

 

「一文字瓦は瓦を葺くときの遊び・・・余裕がないので難しいんです。」

ごまかしが効かないんですね。
“一文字瓦”を葺くのは、手間が必要です。
“一文字瓦”は、手間をかけないと葺けない贅沢な瓦です。
その“ひと手間”が「合端(あいば)」の作業です。

・「瓦下端の水平をしっかり出すこと。」

・「瓦の間隔をきっちり詰めて葺き上げること。」

この2点が“一文字瓦”を葺く時に重要です。

       
       
    ☆何回も瓦を置き直し、隣の瓦との“あたり”を見ます、わずかなグラつき、
  水平ラインを見直し、感じ取ります。
 

☆サンダーで微調整。
  この作業を繰り返します。

 
 

 

☆この一文字瓦の施工の現場では、この順番で軒に並んでいきます。

 
 

 

‥まず、入ってきた瓦の選別をするんです。
 瓦、1枚1枚の特性(瓦のハネ(反り、微妙な歪み)を見ること‥。)これが大事です。
 瓦は自然の土から、人の手が生み出すモノ。
 機械化が進んで、「瓦は、全てが同じ大きさで、全てが同じなんて考えるのは、 
 大きな間違いです。」
 この瓦が製造された時の天候の具合なんかも関係あるんでしょうね。
  きっと‥。
 
  1枚1枚違うんです。
  1枚1枚の瓦の持っている“個性”を見極めて、
  頭の中で“流れ‥”を考えていくんです。
  後は、“流れ‥”に沿わないところの微調整を、
私がしてやるんです。

 
 

□「今は“値段”の時代です。」
  安ければそれが一番!!という考えの時代なんですが、“一文字瓦”を葺くのは、この“ひと手間”のせいで、
  どうしても、普通の瓦を葺くよりも値段も高くなってしまいます。
 
  「それでも、キレイな“一文字瓦”を葺きたい‥。」というお施主様の声があれば‥。
  できるだけ、美しい“一文字瓦”を葺きたいですもんね。 
  と吉村さんは言われていました。
     
 
  吉村さん、お邪魔いたしました。本当にありがとうございました。